妊娠・授乳中と言われたら?使える片頭痛薬は?
一般的に、妊娠・授乳中に安全な薬としてアセトアミノフェンが挙げられる。
しかし、アセトアミノフェンだけでは、片頭痛の急性期治療に不十分であることもある。
今回は、アセトアミノフェン以外の可能性について、頭痛の診療ガイドライン2021を参考にまとめてみました。
- 妊娠中はアセトアミノフェンが推奨されている(ただし漫然とは使用しない)。
- 妊娠期の予防薬は、使うならβ遮断薬を使用する。
- 授乳中は、アセトアミノフェンやNSAIDs(イブプロフェン・ジクロフェナク)が使用可能。
スマトリプタン・エレトリプタンは比較的安全と考えられている。
妊娠中、薬の影響の考え方
片頭痛は、妊娠初期から後期にかけて軽減する傾向にあることが知られている。一方で、分娩後1ヶ月以内に半数以上の患者様で片頭痛が再発する。
一般論として、最終月経初日~27日目は無影響期のため、この期間に数回薬を服用しても特に心配はない。
妊娠4~12週末は胎児の期間形成期のため、薬剤の使用を控えることが必要になる。
妊娠13週以降には催奇形性はないが、胎児機能障害・胎児毒性を考えていく必要がある。
妊娠中の急性期治療について
片頭痛発作の治療薬として、以下のように考えられる。
- 経験的にアセトアミノフェンが使用されている(ただし、漫然と使用はしない)。
- 妊娠後期でのNSAIDs使用は禁忌。
FDAでは20週目以降は控えるようにとの勧告も。 - エルゴタミンは禁忌(子宮収縮作用があるため)
- トリプタン系薬剤は、重度発作の場合、リスクとベネフィットを検討し使用することが必要か。
妊娠中の予防療法について
上記で述べたように、多くの患者様で片頭痛発作の頻度が低下する傾向にある。予防薬が必要な場合は、以下の点に注意していく。
- バルプロ酸、Ca拮抗薬は禁忌である。
- 経験的にβ遮断薬(プロプラノロール)が選択肢となる。
授乳中の治療薬について
一般的に、RID(相対的乳児薬物投与量)が、10%未満であれば、児への影響は少ない。
以下、授乳中の急性期治療の参考とする。
- アセトアミノフェンや、母乳以降率の低いイブプロフェン、ジクロフェナクなどは使用可能と考えられる。
- *妊娠と薬情報センターにおいて、スマトリプタン及びエレトリプタンは授乳中に安全に使用できる薬に挙げられている。
添付文章上、スマトリプタンは12時間、その他のトリプタンは24時間の授乳を避けると記載がある。
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