往診同行で問われる知識(薬局薬剤師編)

結論から述べたいと思います。往診同行で問われる知識のポイントは、

  • 禁忌を把握しておくこと
  • 用法・用量(できれば最大用量)を把握しておくこと
  • 簡易懸濁、粉砕について把握しておくこと

以上3点が、約半年間で感じた最低限求められる知識なのかなと感じています。薬局の窓口業務でも同じじゃんと思った方。。。その通り同じなんです。違いがあるとすればそのスピード感です。あたり前のことですが一つずつ解説していきます。

*窓口業務:調剤薬局における来局患者に対する業務とご理解いただければと思います。

禁忌を把握しておくこと

今回、「禁忌薬」ではなく、「禁忌」としました。あくまで私個人の経験になるのですが、禁忌薬に関してはしっかり意識して業務に取り組むため、見たときにピンっと来ることも多いです。

例えば、
ベルソムラ錠服用中に、風邪薬としてクラリスがでました。
エフピー錠服用中に、パキシル錠が追加処方されました。
セララ錠服用中に、パキロビットパックが処方されました。

(たとえ知らなかったとしても)薬剤師やっている方であればなんとなく嫌な感じがすると気づけるのではないでしょうか。

今回あった事例を具体的に記載します。
不穏症状が続き、夜間頻繁にナースコールが鳴り響く。夜間帯は人も少なくなるため、往診時に医師に相談。セロクエル錠を開始することで様子見となった(往診時)

11種類の薬を服用中の方(薬の量が多い問題は今回はなしとします)。薬の中にはフォシーガ錠(10㎎)を服用中。

皆さんすぐに気づかれましたかね。この方は糖尿病の可能性がある方なのです。可能性としたのは「10㎎」の適応に心不全もあるので、この段階ですぐに中止の判断はできません(すぐに要確認事項ですね)。

では、さらに情報をもう一つ。この方はインスリン注射を実施しています。ここまでくればほぼ100%でしょうか。すぐさま疑義(変更提案)でしょうか。

今回は、往診後の鑑査中に気付き対応できましたが、往診中に対応できず失敗したな~と思うエピソードです。

【補足】セロクエル錠に添付文書の禁忌の欄に、糖尿病の患者・糖尿病既往歴のある患者記載あり

 

用法・用量(できれば最大用量)を把握しておく

これに関しては医師の裁量範囲内のことも多い気はするので、杓子定規にする必要はないと思います。聞かれた時に、判断する材料の一つとなるので答えるようにしておきたいと感じています。

具体例を挙げますと、
認知症状が疑われる方。最近意欲の低下があるため、興奮性のイクセロンパッチ(4.5㎎)を開始。
2週間後、意欲の向上も見られないことから、イクセロンパッチを「9㎎」に増量したいと医師の提案あり。

イクセロンパッチは4週間ごとの増量が基本とお話しすることで、もう2週間は4.5㎎を貼付。さらに2週間後に9mgに増量となった。

イクセロンパッチに関しては、9㎎からの開始もある。そのため、2週間での増量も完全に否定はできないと考えつつ医師とすり合わせを実施した感じでした。

他にも、レザルタスHD服用中の方で、血圧が高くなり始めた。ここでよくされる方法(あくまで私の往診時での先生の対応)として、個々の成分の単独処方追加が多いです。
(オルメテック錠、あるいはカルブロック錠の追加といった感じ)

当然、カルブロックの薬物量は上限に達しているため、別のCa拮抗薬を選択することで様子見となりました。

このように、現在治療している薬物量を増減させることはよくあります。処方する先生としても、別の薬剤にすぐ切り替えというよりは、薬物量を操作する方がやりやすいとも思います。

簡易懸濁、粉砕について把握しておくこと

正直、これが一番苦労している点です。これに関しては、「知識と経験」が如実に現れるからです。上の2点は、スマホでさっと調べられることも多いのです。簡易懸濁・粉砕については、私の知る限り専門の本で確認するのが一番確実だと思っています。

事前準備として、今出ている処方分については粉砕できるかのチェックを行い、その方が突然飲めないと言われても対応できるようにしています。

問題は、普段処方に出てこない薬です。これに関してはどうしても往診後での対応となってしまうことが多く、せっかく往診同行しているのになと感じてしまう次第です。

その中で、最低限知っておかないといけないと思うのが、「抗生物質」、「解熱・鎮痛薬」、「痰切り、咳止めなどの風邪薬」といったところでしょうか。

内科の門前でされている方や、在宅をされている方にとっては当たり前かもしれません。私は門前が脳神経系であったため、これらの薬が出ることがほぼなく、さらに粉砕となると。。。って感じです。

最後に伝えたいこと

「往診同行って大変ですか?」と聞かれたら、大変ですと答えると思います。

理由は様々あります。時間的な制限、事前の準備、何よりも不意に薬の質問を先生からされることは多少なりともストレスです。

ただ、それ以上に得るものが多く、往診同行を楽しいと思えることが多いです。これも先生や看護師の方が優しいからなのですが。

往診同行に行きたくても時間的にいけない方がほとんどだと思います。また、往診同行しなくても事前に情報収集し、先生に事前にお伝えすることで問題なく業務が回ることも多いと思います。

もしまだ若い方でそのような機会があれば、積極的に参加してもらえるとよいかなと思います。
先生からの視点を知ることで、処方内容の見方がわかり、次の処方提案に活かせることも多いように感じています。

今回の内容で、少しでも参考になる部分があり、往診同行に二の足を踏んでいる方の勇気づけになればと思っています。

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