そのトレーシングレポートは読んでもらえてますか?

トレーシングレポートって何を書いたらいいの?
いつも頑張って書いているけど、先生からの反応は全くない。
そんな方に、先生に少しでも読んでもらえるポイントを今回はご処方介します。

薬局薬剤師が変われば医療が変わる」を信念に、在宅・施設業務に奮闘中です。経験が少ない今だから書ける、感じた事、上手くいった事を伝えていきます。

トレーシングレポート(情報提供書)のポイント

トレーシングレポート(情報提供書)のポイントは3つです。

・簡潔に書く(目標は120~160字以内)
・問題点や論点を明らかにすること
・薬剤師視点からの提案をきちんと行うこと

私が実際に書いたトレーシングレポートを記載します。

「〇〇様から、下肢浮腫が気になっていると伺っております。
服用薬剤の中で、アムロジピン錠の影響の可能性はございますでしょうか。
シルニジピン錠の方が浮腫の影響が少ないように思います。ご検討をお願いします。」

上記提案に対し、アムロジピン錠を中止しシルニジピン錠が開始となりました。その後、下肢浮腫・圧迫痛が改善され、自分の中ではよかった介入事例だと考えています。

それでは一つ一つ解説を行っていきたいと思います。

ポイント1:簡潔に書く(目標は120~160字以内)

先生って超・超・超・超・超・超・超多忙(7ってなんとなくラッキーを感じるよね)
こんなことぐらい皆さんよくご存じですよね。でも、往診同行を始めて、より先生を身近に感じられるようになるとその多忙さは想像以上。

ほんと、昔のトレーシングレポートよく読んでもらえてたなって今になって反省することに。

少し脱線してしまいましたが、ご存じの通り先生は超多忙です。短くい文章にすることが、ある意味最低限の礼儀であると考えています。

あくまで経験上ですが、何かを提案したいときの文章は3-4行(正直4行は長い)に収めると読んでいただけることが多いように思います。文字数にすると120~160字程度でしょうか。

今回の例文でいうと全部で101文字です。
私は以下の2点を意識して取り組むようにしています。

1点目:主張したいことのポイントを絞ること。
2点目:文章が短くできる箇所がないかを意識すること。

1点目については、「下肢浮腫」というポイントに絞って書きました。
下肢浮腫以外にも頭重感、倦怠感などの訴えもありましたが、それらを敢えて書かずに1点に絞って記載しています。

2点目については具体的にお話しします。今回の例文を読み返してみると、まだ修正できるなと思いました。

「〇〇様から、下肢浮腫が気になっていると伺っております。(27文字)」
→「〇〇様から、下肢浮腫が気になると伺っています。(23文字)」

「服用薬剤の中で、アムロジピン錠の影響の可能性はございますでしょうか。(34文字)」
→「服用中のアムロジピン錠の影響はございますでしょうか。(26文字)」

微々たる違いと思われるかもしれませんが、積み重ねていくことがやはり大事だと思っています。短い文章が書けるようになると、自分が伝えたいことを増やすことができるので、意識してみて下さい。

ポイント2:問題点や論点を明らかにすること

ポイント1と重複することになりますが、今回記載するテーマをはっきり伝えるということです。
今回の場合は、「下肢浮腫」です。しかも患者さんからの直接の訴えですので、この問題を取り上げていることをしっかりアピールしていきます。

では、問題点が2点ある場合、それ以上ある場合についてはどうしたらよいのか。
問題点が2点ほどであれば、2段落に分け、1つずつ記載するでしょうか。

例えば、頭痛と腹痛の症状があり、これは同時に伝えないといけないと判断される場合。

「△△様より、頭痛の訴えの症状があります。
原因として。。。。。
頭痛薬の□□をご検討されますでしょうか。」

「さらに、腹痛の訴えもあり、かなり重症度が高いように思います。
▲▲している時に症状があり、頓服用の■■を服用すると落ち着きます。
■■を定期服用にされますでしょうか」

といった具合に私ならすると思います。
ここでもそれぞれを120文字程度にまとめ、1段落ごとで内容を完結するように意識します。

やってはいけないと思うことは、頭痛と腹痛を同じ段落にまとめてしまうことです。
文章の冒頭で。「△△様から、頭痛と腹痛の訴えがございます」と問題点を明確にすることはよいと思います。

その後も続けて「原因の頭痛は。。。であり、腹痛の時は。。。」と書くのは私的にはNGな気がします。それぞれを別々に書くことで、論点が明確になり適切に書くことができます。文章を書くのが苦手な人ほど分けて書く方が良いと思っています。

論点が多数存在する場合は、まず論点の絞り込みが出来ないか(1-2点程度)を考えます。それでも絞り込みが行えない場合、トレーシングレポートの書き方を根本から変えます。

これについては別の機会で紹介したいと思いますが、3-4行ではとても伝わらないので、別の切り口で対応しています。

ポイント3:薬剤師視点からの提案をきちんと行うこと

今回の場合、
『アムロジピン錠が下肢浮腫ではないかという考察』、
『シルニジピン錠を代替案として提案した』、
ここに薬剤師としての介入をしたと思っています。

誤解をしないでいただきたいのは、この提案がベストな選択ではないということです。単純な点でいうと、同じCa拮抗薬であれば先生も検討しやすいのではないかと考え提案していますが、血圧を下げるという点から考えると別の提案もあると思います。

この事例で私なりに考えたこと、考えれたことを列記するとすれば、
・下肢浮腫ってそもそもなぜ起こるのか。
・薬剤の影響だとすると何か。
・先生に提案するとすれば何が最適なのだろうか。

アムロジピン錠の副作用の中で、比較的頻度が高い副作用に分類されていること、注意書きとして10㎎への増量時には浮腫の頻度が高いとの事実関係を確認しています。文章にそこまでの内容は記載していませんが、客観的事実としての裏を取っています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。もっと詳しく書かないと説明ができない、あるいは不十分だと思われる方もいるかもしれません。

もちろん、専門性の高い視点や、重症度によってはこの書き方では問題があるかもしれません。まずは読んでもらう、少しずつ先生の信頼を勝ち取っていく、その先に細かいケアが出来ていくんではないかと感じています。

最後に、トレーシングレポートのポイントを列記して締めくくりたいと思います。
・簡潔に書く(目標は120~160字以内)
・問題点や論点を明らかにすること
・薬剤師視点からの提案をきちんと行うこと

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