片頭痛治療薬の使い分け ~トリプタン系治療薬~

医薬品

片頭痛治療薬のポイント ~トリプタン系治療薬~

トリプタン系治療薬の窓口での投薬のポイントについて考察しました。

  • 発作時(頭痛時)より1時間以内の服用が効果的である。
  • イミグラン点鼻(15分)、イミグラン皮下注(10分)は即効性が期待できる
  • ナラトリプタンは服用後、4時間あければ再度服用可能(他は2時間)。

トリプタン系薬物の作用機序

ストレスなどにより脳血管内のセロトニン(5-HT)が増加することで血管が収縮する。その正常化に伴い血管が過度に拡張することで、血管透過性が更新して血管壁に浮腫・炎症が生じることで痛みを発生すると考えられている。

5-HT受容体のうち、脳動脈に5-HT1B受容体や5-HT1D受容体が分布している。

トリプタン系薬物はこれらの受容体を介して、血管収縮作用や抗炎症作用を発現すると考えれえる。

トリプタン系薬物の体内動態

成分名先発名TmaxT1/2
スマトリプタンイミグラン錠剤:1.8±0.9
点鼻:1.3±0.73
皮下注:0.18±0.04
錠剤:2.2±0.3
点鼻:1.87±0.53
皮下注:1.71±0.26
ゾルミトリプタンゾーミッグOD錠:2.98OD錠:2.9
エレトリプタンレルパックス錠剤:1.0±0.32錠剤:3.2
リザトリプタンマクサルトOD錠:1.0OD錠:1.6
ナラトリプタンアマージ錠剤:2.68±1.34錠剤:5.05±1.71

OD錠:口腔内崩壊錠

  • ナラトリプタン及びゾルミトリプタン以外の錠剤及びOD錠では、Tmaxが1-2時間である。
  • ナラトリプタンのT1/2は5時間であり、24時間作用が持続すると考えられる。

頭痛発作後、1時間以内に服用することがガイドラインでも推奨されている。薬物の体内動態の観点から、効果発現までの時間が一致していると考えられる。

ナラトリプタンについてはT1/2が長いため、生理時などに有用な可能性がある。しかし、効果発現までに時間を要すると考えられる。

トリプタン系薬物のその他の注意点

【禁忌項目について】

  1. 虚血性心疾患、脳血管障害、末梢血管障害、血圧がコントロールできていない方。
  2. スマトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタンはMAO阻害薬と禁忌である。
  3. ナラトリプタンはプロプラノロール(片頭痛予防薬)と禁忌である。

薬理作用(血管収縮作用)を有するため、1の疾患には注意しておく必要があると考えられる。

また、片頭痛の予防において、プロプラノロール(先発名:インデラル)が投与されることがある。唯一併用禁忌であるナラトリプタンについては注意が必要と考えられる。

参考資料:「違いがわかる!同種・同効薬」 編集 黒山正一、大谷道輝
頭痛の診療ガイドライン2021

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