骨粗鬆症及び治療薬

骨粗鬆症治療薬

以下、骨粗鬆治療薬について解説します。
参考:続違いがわかる 同種・同効薬

骨粗鬆症

骨粗鬆症は、低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大、骨折の危険性を増大する疾患である。

骨表面の皮質骨や、内部の海綿骨の脆弱化などの構造変化を伴い、骨強度低下が原因の一つである。

骨粗鬆症治療薬は、骨吸収抑制薬、骨形成促進薬、骨代謝調整薬に分類される。

骨吸収抑制薬

骨吸収抑制薬は、ビスホスホネート製剤(BP製剤)、女性ホルモン製剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、抗RANKLモノクローナル抗体に分類される。

ビスホスホネート製剤(BP製剤)

BP製剤は、骨折予防効果の有効性および重篤な副作用が少ないという特徴から、骨粗鬆症治療の第一選択として使われてきた。

BP製剤は、ボナロン/フォサマック(アレンドロン酸)、ベネット/アクトネル(リセドロン酸)、ボノテオ/リカルボン(ミノドロン酸)、ボンビバ(イバンドロン酸)などがある。

アレンドロン酸、リセドロン酸は錐体骨折、非錐体骨折、大腿骨近位部骨折に対して、ガイドラインのグレードA相当である。
一方で、ミノドロン酸、イバンドロン酸は錐体骨折のみがグレードAに該当している。

顎骨壊死などの報告もあることから、侵襲的歯科治療を行う際は、3ヶ月の休薬期間を設けることが望ましいとされている。
ただし、投与期間が3年未満で危険因子のない場合は休薬不要とも。

女性ホルモン製剤

女性ホルモン製剤は、エストラーナ/ジュリナ(エストラジオール)などがある。
女性ホルモン製剤は、閉経後骨粗鬆症に対してエストロゲンの補充を目的に使用される。

作用機序は、骨吸収抑制作用を有する副甲状腺ホルモン作用を阻害する。その他にも、カルシウム吸収促進作用、活性化ビタミンD3の生成促進、骨形成促進作用なども報告されている。

選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)

SERMは、骨や脂質代謝に対してはエストロゲン作用を示し、乳腺や子宮には抗エストロゲン作用を示すことから、女性ホルモン薬で指摘された問題点(心血管疾患、子宮内膜がん、乳がんなど)を回避しつつ、骨吸収抑制作用を示す。

そのため、閉経後女性に対する第一選択薬として使用が推奨されている。

SERMには、エビスタ(ラロキシフェン)とビビアント(バゼドキシフェン)の2種類がある。

副作用として、深部静脈血栓症、ホットフラッシュなどがある。

骨形成促進薬(副甲状腺ホルモン製剤)

副甲状腺ホルモンは、主に血中のカルシウム濃度を上昇させる(骨吸収促進)作用がある。しかし、断続的に投与することにより骨形成が促進されることが知られている。

副甲状腺ホルモン(PTH)製剤は、フォルテオ(テリパラチド(遺伝子組み換え))とテリボン(テリパラチド酢酸塩))の2種類がある。
いずれも、2年間の累計投与期間の制限が設けられている。

骨代謝調整薬(活性化ビタミンD製剤)

活性化ビタミンD製剤には、ロカルトロール(カルシトリオール)、ワンアルファ/アルファロール(アルファカルシドール)、エディロール(エルデカルシトール)の3種類がある。

カルシトリオール及びアルファカルシドールは、骨折予防効果、転倒予防効果が認めら得ており、長期投よの高い安全性から、高齢者への使用が推奨されている。

エルデカルシトールは骨密度増加効果、骨折予防効果を示しBP製剤との併用試験において運動機能改善効果が

その他:イベニティ(ロモソズマブ)

  • 骨形成促進作用(骨が細胞の活性化、骨前駆細胞の分化誘導)、骨吸収抑制作用(破骨細胞メディエーターの発現比率の変化)を併せ持つ。
  • 心血管系事象(虚血性心疾患、脳血管障害など)の発現を注意深く観察する必要がある。
  • 投与は1ヶ月に1回、1年間(計12回)実施する。

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